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2019.09.12
アート・イベント
浜松まちづくりの未来を照らす『浜松サザンクロスほしの市』
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(株)浜松家守舎CON 左:鈴木友美子さん、中:島津順子さん、右:吉田ゆかさん

 

※この記事は、浜松・浜名湖の観光情報サイト『浜松・浜名湖だいすきネット』に掲載された内容を引用しております。

https://hamamatsu-daisuki.net/pickup/2019/08/post-13.html

※写真は7月開催の模様です。

 

浜松駅南に位置するサザンクロス商店街。かつては人が行き交い活気に満ち溢れていた駅南のシンボルのような商店街だったが、近年は典型的なシャッター街と呼ばれるような状態が続いていた。この地域にもう一度、以前の活気を取り戻そうと活動しているのが『(株)浜松家守舎CON』の3人だ。地元のアーティスト・クリエイターがこぞって出店を希望する人気のマルシェ『浜松サザンクロスほしの市』をはじめ駅南エリアを盛り上げるプロジェクトを創造し続ける彼女達。その活動の原動力を探るべく、(株)浜松家守舎CON 鈴木友美子さんに話を聞いた。

 

一度は開催を諦めた『サザンクロスほしの市』

 

ーーー『サザンクロスほしの市』とは、どのようなイベントなんですか?

毎月第2日曜に浜松駅南の『サザンクロス商店街』で開催されるマーケットです。私たちが魅力を感じたクリエイターの方々をスカウトする形で出店者を集めています。地域の魅力が伝わるマーケットにしたくて、浜松(または近郊)を拠点に活動する方、浜松にゆかりのある思いを共有できる方を中心に出店していただいてます。一時的な賑わいをつくるためではなく、浜松駅南エリアの価値をあげ、子どもたちに誇れる街にしていけたらと思っていますね。

 

ーーーもともと『サザンクロスほしの市』の始まりは『リノベーションスクール』だと伺いました。

※『リノベーションスクール』とは、実際にまちなかにある空き物件や空間を使ってまちづくり事業を学び、実践する場

 

はい、そうですね、『第4回リノベーションスクール@浜松』に参加して、現在事務所を構えているこの物件が対象でした。でも、人通りがまばらになってしまっている『サザンクロス商店街』のこの物件に単体で何を入れても人は訪れてくれないと思ったんです。なので『サザンクロスほしの市』を月一で開催することで、通り全体の価値を上げて人が行き交う商店街にしてから店や会社を入れるという考えで始まりました。

 

ーーー何もないところから『サザンクロスほしの市』を実際に開催するまでに苦労はなかったんですか

もともと、私は人の前に立つのも嫌な性格なんです(笑)。『リノベーションスクール』が終わった段階で参加者の皆んなも熱量があったので、何か手伝えることがあればやるよ、ぐらいのスタンスでした。でも、『リノベーションスクール』が終わると皆んなの予定が合わないなどの理由が重なって、誰も行動には移せなかったんですよね。

 

ーーーやはり、”学び”と”実践”には大きな壁があるんですね

そうなんですよね。皆さん本業がある方もいらっしゃいますし…

そんな中、手伝い程度に考えていた私が「やりたいかも」って思えるきっかけがあったんです。ある日、突然(笑)。そこから「やる!」と決めて、参加者の中から2人誘って急ピッチで準備に取り掛かりました。

 

ーーー急ですね(笑)!その「やりたいかも」のきっかけは何だったんですか?

岐阜県に『おちょぼ稲荷』という神社があるんですけど、そこで毎月月末に『月並祭』というお祭りが開催されていて、そこに行く機会があったんです。そのお祭りがローカルで夜に開催されているんですけど21時とかでも人がいっぱいなんです。さらに出店者と来場者がとても楽しそうで「先月来なかったじゃん!」って皆んな笑顔で会話してたんです。その風景がとても良くて、これを浜松でもやりたいと自然と思えました。

ちょうどその日、岐阜に向かうバスが『サザンクロス商店街』の前を通ったんです。車内からこの物件を見て「やっぱり、何もやらなかったな」と思いながら見つめていたんですが、帰りのバスの中では誰に声をかけて、いつからやろうとか妄想が止まらなくって(笑)。帰りのバスが『サザンクロス商店街』を通る時には”やる!”って決めてましたね。

 

ーーー素晴らしい決断力ですね(笑)!そこから、どのように開催に向かって行ったんですか?

岐阜に行った時点で『リノベーションスクール』から6ヶ月ぐらいは過ぎていました。その後、プレイベント的に『サザンクロスほしの市 vol,0』を試験開催しました。この0回目が終わった時点でも皆んなは、うまくいかないと思っていたみたいだし「毎月開催なんて無理」みたいな声もあがったんですけど、なぜか私は「これは、できる!」って思えたんですよね。そこから、賛同してくれた2人と会社をつくって開催に向っていきました。

 

ーーーその時点で鈴木さんが「できる!」と思えたのはなぜですか?

自分がやればできると思いました。成功するとか人がいっぱい来るとかは、わからなかったですけど0回目のように自分が動いてやれば毎月でも開催はやればできると思えましたね。むしろ、できないと思うのがわからなかったですね。最後に残った3人は全員、自分でやれると思ってる人間でしたね。

 

ーーー鈴木さんと共感できた3人が最後に残ったんですね

でも、その3人がキャラクターも違うし、やりたいことも全然違うんです。「私、これがやりたい」って誰かが言い出したら「ふーん、じゃあやって」みたいな(笑)。でも、それくらいが丁度よくて、目標は一緒なのでよっぽど変なことでなければ、それぞれがやりたいことをやっています。似てる人だけでやっていたら、衝突してうまくいかなかったかもしれないとも思いますね。

 

サザンクロスほしの市 vol.1 の様子

 

『浜松家守舎CON』が描くビジョンとは

 

ーーー3人共有している目標やビジョンは、どんなものなんですか?

事務所にも貼ってあるんですが、これが私たちの理念です。「行政に頼らず民間の力だけでしっかり稼ぎながら街を変えていきたい」と考えてます。稼げてないですけどね…(笑)。

※浜松家守舎CONの想いはホームページにも http://yamorishacon.mystrikingly.com

 

ーーーやっぱり民間が自ら自立していかないと地域は盛り上がらないですよね。

そうなんです。私たちの取り組みも商店街の人たちを巻き込んでいるので色々な人がいます。地域と向き合うと反対する人や乗り気じゃない人もいますが、私たちの周りでは、以前はやっていなかった街のことを話し合うミーティングが行われたりと、自分ごととして考えてくれる人がどんどん増えてきています。徐々にではありますが、目に見えるかたちで変わってきていますね。

 

 

ーーー鈴木さん自身は住宅の設計という本業がございますが、本業とは違う場所で『リノベーションスクール』に参加されたということは地域に問題意識があったんですね

はっきり言って、微塵もなかったです。『リノベーションスクール』も後輩に誘われて、どういうものかも理解せずに行ったんです。本当に嫌々でした、前日にお腹痛くなるぐらい(笑)。でも、行って良かったなって今では思ってます。あの頃は、あれでいいと思っていたけど今の方が断然楽しいです。

 

ーーーそ、そうなんですね(笑)

だから、3年前くらいの私しか知らない人に会うと「えっ!鈴木さんって、そんな人だっけ?」って言われますね。でも、いまだに3日間くらい1人でいても平気ですけどね(笑)。

 

ーーー『サザンクロス商店街』で今後やっていきたいことなどビジョンはありますか?

私たちが月一でイベントをやっていますが商店街自体は、まだまだ多くの人が訪れる場所ではないんですよ。それには、魅力があって力がある飲食店などが増えないと難しいと思います。むしろ、その入るテナントさんを私が選びたいとすら思いますね(笑)。駅南で立地はいいはずなのに人が来ないのは、やっぱり魅力あるお店や物がないからなんです。テナントを出したいと思っている人はいるので、その人たちと商店街の人たちとの橋渡しがうまくできないかとチャレンジしています。

 

ーーー『サザンクロスほしの市』に参加されてる方々を見ると、ここに地域のコミュニティみたいなものができてきているように見えるんですが?

そうなんです、今ちょうど駅南を活性化するとか人と人が繋がっていくということを目指して『10人10色』というトークイベントを開催しています。私の事務所でこじんまりとやってるんですけど、面白い働き方をしている人の話を直接聞いて、直接質問できる “おしゃべり会”みたいなことをやってますね。あとは、『ほしの便り』っていう駅南ローカルメディアを立ち上げました。今は、まだ20くらいしか記事があがってないんですけど『サザンクロスほしの市』の出店者さんに50の質問をぶつけて答えてもらって、よりその人のことを知ってもらうコーナーをやってます。他にも買い物したお客様に “買ったもの見せて”なんていう取材をしたり、”駅南で好きなお店どこ”という質問をしたりして記事をつくっています。

 

ーーー『サザンクロスほしの市』以外にも色々な活動をされているんですね

それぞれは違う活動のようでも、やっぱり繋がってるんですよね。『10人10色』も出店までに至ってないクリエイターの卵のような人たちを探したいという希望もあるんです。『ほしの便り』の記事もそうなんですけど、自分で何かをやってみたいけど、「やっぱり無理だよね…」って諦めてしまっている人たちにすでに実行に移している人たちの話を聞いてもらうことでチャレンジに一歩踏み出せるお手伝いをしたいんですよね。

 

ーーーなるほど、イベントだけでなく”街づくり””人づくり”もされてるんですね!今後も鈴木さんたちが何をつくりあげていくのか楽しみにしています。ありがとうございました。

自分たちにやれることを少しずつ実現していきます。ありがとうございました。

 

◆次回開催◆

浜松サザンクロスほしの市

2019.10.13.sun 10〜15時

※アーケード商店街のため雨天でも開催します。

※公共交通機関でのご来場をオススメしています。

出店者はInstagramとfacebookで随時お知らせします。
●instagram @southern.cross_hoshinoichi
●facebook 浜松サザンクロスほしの市

 

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